夏の終わり
2017年の夏になっていた。
これまでオフセット印刷にこだわっていたが、UV印刷に切り替えることにした。
素材開発について、もはやこれ以上は甘えられぬと判断した。
1mm厚の紙ならば、破れず剥がれずが実現できることは確認済みである。
後は、1mm厚に印刷可能で、さらにお安いところを探すだけだ。なにしろUV印刷はお高いのだから。
折り目から破れる問題の解決策は、組み立て簡易化作業の中で見つかった。
素材をどうこうするのでなく、折り目の付け方で対処ができた。
より組み立てやすい接続部の構造を試行している最中に、ある形状が、ぺき、とちょうど良い感じに裂けずに折れたのだ(ただし接続部の構造としては失敗)。
ちょっと面白いと思ったのだが、この頃から、改良の方法について思い悩むことが減った。
何しろ2年も続けてきたのだ。
1年前は、駄作で人様に迷惑もかけた。
もう、改良の過程で新たな選択肢が現れても、大抵は過去の失敗が正解を教えてくれる。
私は常々計画性に難のある人間だが、失敗による些細なノウハウは大量に溜まるので、人生としては、なかなかどうして楽しい。
そうして夏の終わり。
ふと気付くと、ギリギリ許容できる金額で1mm厚へのUV印刷を受けられる印刷会社が見つかり、組み立て簡易化は92%もの工数削減に成功した。
量産可能な設計と、量産体制の確立と、組み立て作業の簡易化は、それぞれがそれぞれに影響しあっていたために、ほぼ同時に完了した。
そうして夏の終わり。
途中経過を考えると、ふいに、あっさりと、クラウドファンディングを行える条件が揃った。
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