Material Old man
量産手法の件でご相談していた印刷系企業の方に素材のアイデアをいただいた。
全く、どうして気付かなかったのだろうと思う。
喫茶店でたまに見る紙製のコースターは、如何にも水を吸いそうじゃないか。
早速教わった店やネットショップで何種類かのコースター用紙を購入した。
試してみると、事前に聞いてはいたのだが、思っていたよりは柔らかく、ほとんどのモノは吸水後に破れた。
やはりダメか。
と思った中に、1種類だけ頑丈なヤツがいた。
1mm厚のコースター用紙だ。
もちろん、折り目は弱いし破るつもりで引っ張れば破れるが、他のモノのように、いつの間にか勝手に裂けていたということはない。
これなら行ける!
と思ったのも束の間、今度はコースター用紙をコースターサイズに切らずに印刷してくれる印刷業者さんが見つからない。
どういうことだ。
世の中には普通に印刷された分厚い紙製コースターが沢山あるじゃないか。
あれを、印刷した後、コースターのサイズに切り分けないで納品してくれたら良いだけなのだ。
なのに、どこにメールしても電話しても、コースターサイズなら請け負うが、大きいサイズはダメだと言うのだ。
ある企業の電話口の方が、何やらよく話す方だったので、何故ダメなのか突っ込んで聞いてみた。
詳しいことは言えない(何故だ?)ようだが、どうやら、コースター用紙の印刷は、どこかの業者に丸投げし、そこでは、あのサイズに切った後の紙に印刷しているらしい。
ならば紙製コースターショップにどれだけ連絡しても同じことじゃないか。
そこから先は、コースター用紙への印刷というキーワードを捨てて、とにかく、厚手の紙への対応を謳う印刷業者さんに片っ端から連絡した。
それでもやはり見つからない。
どうやら、厚さ1mmが壁なのだ。
次の手を考えれば次の問題が現れる。
一度は出来たとすら思っていたのに、結局1年経っても、まだ素材探しだ。
走り続けてきたけれど、実は一周しただけだ。
課題が尽きぬのは楽しいが、このままでは間に合わなくなる。
UV印刷ならば可能というところなら少しだけあった。
だが、UV印刷は、想定している販売価格に対し、原価が非常に高額になる。
対して、この紙は、たまたま、オフセット印刷にも対応していると謳っている。
せっかくオフセット印刷に対応している紙なのにUV印刷を採用し、原価が上がるというのは避けたい。
2017年の年明けから素材を探し始め、既に3月になっていた。
無理かもとは思わないが、間に合わないかもとは思い始めた。
見積もりを依頼しては無理だと断られるループを40社ほど繰り返したある日、いつもと違う返事を見つけた。
1mmでは無理だが、0.5mmならできる。 これを貼り合わせて1mmにしてはどうか。
水に浸けて使うことは、まだ、伝えていなかった。
その条件では無理と言われるかもしれない。
だが、2か月もの間「対応しておりません」と判を押したような返事を受け続けてきた私にとって、代案を提示するメールは、さながら砂漠のオアシスのように見えた。
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